「俺と遊んでよ」
 いつからだろうか。
 口癖になった。
 他人との関わり方が分からなかった。
 でも、一人になりたくはなかった。
 周りにたくさんの人がいるのに、一人だったあの頃。それにくらべれば、今はきっと一人ではないのだと思うけれど。
 けれど。
 今も一人には変わらない。
 寂しさはいつも付き纏って離れない。
 一人が寂しいと、分かったのも最近なんだけれども。


「ゲームをしよう」
 同年代の。
 何処か影がある連中。
 自分の影に覆いつくされている。
 自分の影におびえている。
 そういう相手しかしなかった。
 影を克服しようとしたり、逃げたり。
 どんな理由であろうと、目的を持った者は余所見をしない。
 自分を視界に入れてはくれない。
 だから。
 だったら。
 そういう奴を自分は相手にしない。
 それに。
 影を持った人間は、挑発しやすかった。



 挑発して、傷つけて。
 けれど心は晴れず。
 結局一人のままだった。

 
 最初に一人にした人に、嫌がらせに、エメラルドグリーンのカラーコンタクトを入れてみた。
 理由はない。
 ただ、なんとなく。
 それだけで。
 それだけなんだけれど、吹っ切れたのは何故だろう。


 誰かに必要とされなくていいから。
 誰かを必要としてみようと思った。

 考え方が変わったのは。
 カラーコンタクトを入れてみようと思ったのは。
 一つの出会いがきっかけ。
 人は誰かに出会って影響されて。
 影響して。
 変わることが出来るんだってわかったから。
 人と出会うのは運命だと思った。




 前を向いて。
 目的を持って。
 必要とした人のために動いて。
 それで。
 それが、原因で災いが起ころうとも。
 後悔はしないと思う。
 気がかりは。
 自分が必要とした人が、それによって影を持ってしまうかもしれないということ。
 信じているけれど。
 刹那の瞬間も、心を痛めて欲しくない。







 あとがき。
 時期的にはエメラルドのちょっと?かなり前?
 可也の心境を可也視点で語りました。
 単独で読めるように心掛けているんですが、難しいかも。
 すみません<(_ _)>
 エヴァンに出会う前の事です。
 エメラルドの前のお話を書けたらいいなって思ってます。
 









戻る(無限城の index へ)